千葉雅也やっぱり好きだなー。エッセイ、日記文学、哲学書のどれにもあてはまりそうな、あてはまらなそうな。きっとこの本も「書かないで書いた」んだろなという痕跡が見えて、『ライティングの哲学』の読者としてほくそ笑んでしまう。言語における人称の捉え方の違いが人間関係に及ぼす影響、日本のホスピタリティは儀礼的であり対個人のコミュニケーションとは違う次元という指摘に点頭。千葉雅也は一歩間違えれば、村上龍みたいないやらしさが出そうだけど出ない。それはこちらの思考の暴走をすぐに折る、モーグルみたいにめまぐるしい筆致が関係しているのか。
いまいち理解できない「推し」という概念について知りたくて読んだ。プロジェクション理論がかなりおもろい。もっと関連本読みたい。
ちょくちょく読んでたブログ『Wait But Why』の著者ティム・アーバンの初作。アメリカで(or 世界中で)深まっているように見える政治的分断の背景にはどんなメカニズムが潜んでいるのか。それぞれの人が持つ思想や信念をその中身ではなく、考え方にフォーカスして分類するThinking Ladderというフレームワークは目から鱗。アクティビズムや差別の背景にある社会構造の捉え方には疑問が残った。
ドングリFMでおすすめされてて読んだやつ。テッドチャンの『息吹』に収録されている「不安は自由のめまい」とテーマが近い。数ある・あった可能性がカーボン紙のように重なりあったマルチバースとしての自己を、現在の観測地点からどれだけ能動的に肯定できるか。悩むことには優しさがあり、決断には後ろめたさが伴う。でも決断しないと前には進めない。そのとき切り落としたこと、もの、ひとにどこまで思いを馳せられるか。地の文はうるさくて好きじゃなかった。
B&Bで立ち読みして面白かったから買った本。ぼんやりした質問にも「こう解釈してお答えします」という姿勢に尊敬。吉本ばななの言う友だちは自分にはいないかも、と若干不安になる。
『クララとお日さま』を読んでカズオイシグロが好きになったので買ってみた。大どんでん返し!みたいなテンションじゃなく、ゆっくり、冷静に謎が紐解かれていく感じが好き。じゃじゃーんみたいなドヤ感がないから、置いてけぼりにならない。